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日本文化・伝統を継承する「花嫁衣裳」商品開発!

  • Category : プロジェクトストーリー
  • 2020.12.14

株式会社Daiyuでは日本文化や技術を継承する
商品開発を行っています。
その中の1つ、「花嫁衣裳」についてお伝えいたします。
 
日本の着物は海外から「着るアート」と表現されるほど
高い評価を得ています。
そんな世界に誇れる文化の一つである着物。
 
昔から伝わる着物の製法は、
熟練の技術ながらの色調の豊かさ、
絵柄から幸せを願うストーリーを
今に伝えてくれています。
 

 
例えば、
冬であっても緑の葉を絶やさない「松」、
真っ直ぐと育つ「竹」、
冬の終わりにいち早く花を咲かせる「梅」
その3つが揃う松竹梅は、
忍耐力や生命の誕生を象徴する柄といわれます。
こんなふうに意味合いのある柄行を、
繊細な職人の技術によって仕立て上げる。
 
まさにそれは春夏秋冬、
それぞれ移り変わる四季の気配と美しさを見出し、
独自のものの考え方を大切にしてきた
日本人だから生み出せるものです。
 
自然に逆らわず、溶け込み、
楽しむ心を持つということを通し、
この国特有の色彩・美的感覚を培ってきた日本人。
機械織では、ここまで繊細な感性を表現することは
難しいと思います。
 
日本人だけが紡ぐことの出来る、
この本物の価値を伝えていきたい。
 
それも、ただ「古くて良いモノ」という鑑賞品ではなく、
今の時代でも、纏う人へ幸せが届くように。
 
そこで、私たちは専属衣装店である
オーセンティックさんと共に共同開発し、
職人さんの伝統技術で作られた一点物の買付や、
ヴィンテージのお着物の
リブランディングを行っています。
 
商品開発秘話を是非ご覧ください。
 
 

― ヴィンテージのお着物のリブランディング ―


 
専属衣装店であるオーセンティックさんは
1895年創業の結婚式衣装専門店。
老舗呉服店の時代から大切に受け継いで来られた
着物を見せてくださったことから
リブランディングのプロジェクトがスタートします。
 
大切な花嫁様のためにと仕立てられた、一点物。
現在ではもう作り手がおらず、
再現不可能な貴重なお着物でした。
 
このお着物の価値を、現代に伝えるには?
そこで、打ち出したのが、
帯や小物、飾り襟の遊び心のある組み合わせをし
『トータルコーディネートで魅せる着物』として
リブランディングすることでした。
ただ古き良きモノとして残すだけでなく、
遊び心のあるスタイリングで、
現代にも「新鮮さ」を感じてもらうことが叶います。
 

■■■ 龍村美術織物 ■■■



 

 
「復元と創作」にこだわった初代 龍村平蔵。
糸の性質を利用し、
立体感と色彩を見事に調和させた
オーロラに光る色打掛を創り出しました。
引き箔の技術を用いた美しいグラデーションは、
1本1本寸分の狂いもなく織り込む匠の技があればこそ。
色鮮やかにオーロラに光る箔こそが、
織物の世界に「美術織物」を確立した
龍村美術織物の特長です。
 
《スタイリングイメージ》
通常では洗練された龍村美術織物の
価値を崩さないように、
白の掛下を合わせるのが一般的。
そこを敢えて黒で合わせることにより、
現代を生きる凛とした女性を表現。
「自立した女性」をテーマとしたスタイリング。
 
 

■■■ 金華山織り ■■■



 
 

 
赤と金の美しい配色の中に、
天鵞絨(ビロード)で唐花文様を、
立体的に織りなした高級な織物打掛。
ビロードは、今からおよそ500年前の安土桃山時代に
ポルトガルから伝わったという説があるほど、
古くからある手法の1つです。
流暢に描かれた唐草の蔓が伸びる様は、
繁栄発展を象徴。
この格調高い文様を逸品織物として表現するため、
すべて手作業で織られていることも特筆に値する。
 
《スタイリングイメージ》
コーディネートはシンプルにまとめつつ、
金華山織りの立体感と色彩の美しさを活かすため、
小物は白で統一し、
色打掛の中に鮮明な青の掛下を合わせた。
艶やかさにオリエンタルモダンな雰囲気をプラスした、
ハレの日にふさわしい美麗スタイリング。
 
 

■■■ 川島織物 ■■■



 

 
川島織りのコンセプトはは「真・善・美」。
真とは、素材や工程に一切のごまかしを許さないこと。
善とは、この着物を纏う人に喜びと安心感を与えること。
美とは、日本伝統の染色美を徹底的に追求した芸術的一流品をつくること。
日本に伝わる五彩(赤・白・黄・緑・紫)を
一幅の絵画のように表現する意匠はまさに芸術。
現在は婚礼衣装の制作は行なっていないことから、
その希少性は非常に高い。
 
《スタイリングイメージ》
五彩輝く打掛に合わせ、
統一感を演出するために五彩を取り入れた
アンティークの振袖を。
さらに深緑の懐剣と筥迫を採用することで、
五彩を引き立てながら全体を引き締め、
花嫁の覚悟を表現した淑女のスタイリング。
 
 
こうして打ち出した花嫁衣裳は、
全国の花嫁様から
「この着物が着たい!」
と問い合わせをいただくようになりました。
今では、「インスタを見て、結婚すると決まった時から、絶対にこれを着ようと決めていました」
という方までいらっしゃるようになりました。
 
 

― 京都への結婚式衣装の買付レポート ―


 
通常の結婚式会社のスタッフは、
衣装の買付に携わることはほとんどありません。
しかしDaiyuでは、お客様にご案内するお衣装を、
パートナー会社と共に仕入れ・買い付けを行い、
会場の世界観と調和するもの、
職人の技術や想いが込められているものを厳選しています。
 
ここからは、萬屋本店ならではのブランディングを
築き上げているマネージャー水間恵子が
買付に同行した際のレポートを掲載いたします。
 
こんにちは。萬屋本店の水間です。
先日、専属衣装店のオーセンティックさんの、
結婚式衣装のお着物の買付に同行させていただきました。
 
今回の買付の舞台は京都。
着物の展示会は、年に2回東京と京都で行われます。
日本中の呉服屋さんが集まり、
京都市内の至る所で展示会やショーが行われる中、
お目当ての展示会場を巡ります。
何十とある展示会場の中から、
今回は3ヶ所の展示会に訪問させていただきました。
 

 
近年、和装メーカーでは、
量産やコスト削減のため手作業を減らしていたり、
流行りを追う傾向もある中で、
こちらのメーカーさんは、
手刺繍、切り嵌めなどの職人技による技法にこだわり、
友禅染等の高い技術を取り入れて、
昭和初期のアンティーク着物の図案を再現しています。
日本古来の美しい柄行は特別な存在感を放ち、
他にはないお着物ばかりを
取り揃えていらっしゃいました。
 
また、花嫁様が身につける和装小物も
一緒に買付をさせていただいたのですが、
「萬屋本店のテーマカラーともいえる深紅の小物が欲しい。」
とご相談したところ、
物凄いバリエーションの色サンプルを
出してくださりました。
 

 
これだけある色サンプル。
更にその色毎に何十枚と色の深みによって
サンプル生地があるのです。
 

 
日本の伝統技法の奥深さ、
着物の世界の様々な知識を教えていただきながら、
色を選んでいく工程は、とても興味深い時間でした。
 
そして、次の会場へ。
 

 
大きな展示会では1000着以上の着物が
展示されています。
それはもう、迷路のように大きな会場です。
1回の買付で何千着と着物を拝見しますが、
心の底から一目惚れするお着物は、1着~2着程。
 

 
気になったものは、スタッフが羽織らせていただいたり、
モデルさんに試着をしてもらい、
イメージを深めていきます。
 

 
買付に行かせていただくと、
着物が誕生するまでの奥深さを感じ、
結婚式の意味合いや、
日本人として生まれたことへの喜びを感じます。
 
特に今回印象的だったのは、
特別に京手描友禅着物の製造現場を
見学させていただいたことでした。
 

 
職人さんが、柄行の図案から、
染めの工程までの全てを手描きで行っている、
大変貴重な工房の見学。
そこは別世界の様な緊張感もあり、
静寂に包まれた、職人さんの世界でした。
そして、手描友禅の完成形として
見せていただいたお着物がこちら。
 

 

 
このお着物の全てが、手描きなのです。
 
実物は、見たことのない美しさ。
初めて見る鮮やかな色合いと、
躍動感のある絵柄に、
本当に言葉にならないような感動を感じました。
 
着物が好きとかそうゆうことではなく、
人の魂が宿っているともいえるような、
何とも言えない迫力があるのです。
 
これが、機械で作られたものと、
人の手を通して作られたものの
圧倒的な違いなのだと感じました。
 
このようにして、
日本中の呉服屋さんを回り、
展示会をめぐり、ご縁を辿り、
一点物のお着物を仕入れました。
 
 

― オーセンティックさんからいただいたお声 ―


今回、オーセンティック事業本部の藤枝さんより、
嬉しいお言葉をもらったのでご紹介させていただきます。
 
実はDaiyuさんが工房や現場に来てくれた時、
職人さんたちは普段にも増して
目に力が入っていることを感じました。
価値を分かってくれる人がいるというのは、
職人さん達の活力にもなっているんです。
今では良いものがあると
「これ、鎌倉店にいかがですか!?」と
職人さんたちの方から声があがるくらいです。
 
職人さんが手間暇をかけてどんなに良いものを創っても、
それを伝えていく人がいなければ
伝統を残すことは難しい世の中。
だからこそ、Daiyuさんが新郎新婦様に
本物の着物の価値を伝えてくれることは、
文化継承する上で、
大変大きな役割を担ってくれていると思っています。

 
 
結婚式という人生の節目の日。
これからも、私たちは
その大切な一日に纏うにふさわしい衣装を用意し、
本物の価値を持つ和装を花嫁さんたちに伝えていきます。
それは「美しい記憶」として、
これから先の時代にも継承されていくと信じています。

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